■人間は地球のホログラム



 プリブラムの論によらずとも、遺伝子科学の発達により、私たち人間を含む生命それ自体も、ホログラフィックなシステムであることがわかってきた。

 人間の体は五〇兆個もの細胞からできている。その一つ一つの細胞の中には、この複雑怪奇な人間という構成体のすべてをプログラミングしているDNAがある。ひとつの生命体の中のDNAはすべて同じものである。目の部分、手の部分、指の部分、どこの細胞内のDNAにも、まったく同じ情報が記録されている。

 遺伝子の九三%は全人類共通であり、残り七%(約七〇〇〇個)の遺伝子によって個性が作られる。わずかな違いが個体を生む。犯行現場に残された一本の髪の毛からたった一人の真犯人を割り出す「DNA鑑定」を可能にするのも、また、琥珀に閉じ込められた蚊の中から抽出された血から恐竜を復元するというSFが、クローン技術という形ですでに現実のものになりつつあるのも、すべて生命が、一つの細胞のなかにその生命の全体情報が織り込まれているという形で(つまりホログラフィックに)存在しているからにほかならない。

 この事実を、先の「ガイア仮説」にあてはめるなら、私たち個々の人間というホログラムは、もっと大きなホログラムの一部と考えることができる。もっとはっきり言えば、地球というホログラムの一部ということだろう。ならば、私たち一人一人の脳というホログラムには、地球の全体像が(たとえぼやけた像ではあれ)写っているはずである。