■あなたは本当にしたいことをしているか?



 ところであなたは、日頃自分がしている選択や決定に常に意識的だろうか。ためしに一度、すべての行動に注意をはらってみたらどうか。

 朝、あなたは目をさまして起き上がろうとする。そのとき自分に、本当に起きたいかどうか聞いてみる。それについて率直であること。

 シャワーを浴びる。あなたは本当にしたくてそれをするのだろうか、それともできることならそれは省略したいのだろうか。

 朝食をとる。その種類や量は本当にあなた好みの朝食だろうか?

 それはまさしく「あなた流」の朝食だろうか、それとも社会や文化習慣の決めた献立にすぎないのか?

 実際、あなたは食欲そのものがあるのだろうか?

 会社や学校に行く。あるいは一日の家事やその他の社会的義務にとりかかる。それはあなた本来の嗜好に合っているだろうか?

 自由がきくとしたら、今の場所で今の仕事をすることを選ぶだろうか?

 とりあえず、総じて現状をよしとしているとしよう。その上で日常の所作を子細に検討してみて、あなたは自分の好きなことをしているだろうか?

 他の人たちに言いたいことを言っているだろうか?

 彼らを本当に好いているのか、それとも好いているふりをしているだけだろうか?

 

 ただし、ここでは、好き嫌いを実際行動に移しているかどうかを問題にしているわけではなく、その正体を明らかにしているにすぎないことに留意していただきたい。

 一日を過ごす間、あらゆる局面で、こうした自己尋問の新たな契機が訪れる。

 自分は本当にこれが好きなのか?

 夜が来て余裕ができたとき、あなたは本当は何をしたいのか?

 自分にとって本当におもしろいことは何なのか?

 映画観賞なのか、友との語らいなのか、読書か、音楽か、ゲームなのか?

 この自己尋問をやりすぎたからといって、本当に好きなことをおろそかにするような心配は無用である。実際には、ひとりでに好きなことをせざるをえなくなってゆくのだ。重要なのは自分は何が好きなのかを知ることである。

 

 こういうのはどうだろう。あなたは一度死んだが、天使にお願いして、一日だけ生き返らせてもらえることになった。明日の朝が、その最後の一日の朝だとしたら、あなたは目を覚ましてまず何をするだろう? その一日をどう過ごすだろう?

 その通りに明日の一日を過ごせと言っているのではない。しかしこれは、本当に自分がしたいこと、好きなことは何か、そして自分にとってストレスのたまる原因となっているものは何かを見分けるためのいい訓練になる。