シュートは、右に飛ぼうが左に飛ぼうが、決まりさえすれば1点である。どの方向にシュートしても決まらないと感じるとき、たいていの人は目標を絞り込もうとするが、そうすると逆に決まりにくくなる。そんなときは、目標を桁違いに大きく設定し直してみるとよい。

とうてい達成できないと思えるほど目標を大きく設定すれば、到達することが目的ではなくなる。不思議なもので、とうてい到達できないと思えるような大きな目標を掲げると、人は不安になるかというと、むしろ逆で、気が楽になり、安心する。

この「気が楽」という状態が重要なのだ。つまり、結果としてどこへ到達したかより、足の先をどの方向に向けて進むかが重要であることに、人は気づくのだ。なぜなら、たった一つの最終目的地が記された人生の地図など、誰も持っていないからだ。

一方、どちらの方向へ進めば道に迷わないかがわかれば、目的地の定かでない人生行路を楽しむことができる。楽しむことができれば、それだけシュートは決まりやすくなる。硬直した筋肉からは、いいシュートは生まれない。

「理想とは星のようなもの。到達することは不可能だが、海を渡る船乗りのように、人はそれによって自分の針路を決めることができる。」(カール・シュアツ)