たとえば、登校拒否の子どもが、大人からの何らかの働きかけによって再び学校に通い始めたら、問題が解決したと思い込む。しかし、それは問題が解決したのではなく、問題の発現の仕方が変わったにすぎず、問題が発生した理由がなくなったわけではない。

たとえば、少年がバタフライナイフで人を刺したりすると、大人たちはとたんに持ち物検査を始め、凶器を子どもの手の届かないところに置こうとする。子どもの手の届くところに危険なものを置いておかなければ犯罪は防げると、大人たちは本気で考えているのだろうか? それは「目の前に食べ物を置いておかなければ、腹はへらなくてすむ」というのと同じである。