子どもは、どこか別のところからやってきて、親というトンネルを通り、この世に出て行く。トンネルとは常にどこかへ抜けるための通路であり、そこに留まることも、そこに住むこともできない。

子どもが、真に自立するまでの間、親元を離れたり、また戻ってきたりするのは、自分が通り抜けてきた道が、本当に自分が辿り着くべき場所に通じる道かどうかを確かめるためである。決して、親というトンネルに安住の場所を求めるためではない。

だから、子どもが戻ってきたとき、親にできることはこう言ってやることだけである。

「おまえの通ってきた道は間違ってはいない。ただ、おまえは少し疲れているだけなのだ。だからこのトンネルで少し休むがよい。そして、充分に休息したなら、この暗がりの向こうに見える光明を目指して、確信をもって進みなさい。なぜなら、それはおまえ自身が選んだ道なのだから」と。