「親」の取り扱いマニュアル 



以下のワークを作成するにあたっては、次の文献を全面的に参考にした。詳細な内容に興味のある方は、ぜひご一読を。
「親ってなんだろう」G・C・ラパイユ著(日本エディタースクール出版部)


前提

●人が親になるのは、自分のアイデンティティ(社会的な立場や役割)に物足りなさを感じているからだ。

●親は、心の隙間を子どもが埋めてくれると信じたがる。

●人は、自分の人生の空虚さ、あるいは夫婦二人だけでいることの空虚さを埋めるために子どもを設ける。

●人が親になるのは、どこかでパートナーとの関係に不満があるからだ。

●人は、絶対に裏切らない味方がほしくて子どもを設ける。



問1

あなたの親は、自分の人生のどのような点に物足りなさや空虚さを感じて、あなたを生んだのだと思いますか。

○父親の場合:



○母親の場合:



あなたの親は、夫婦関係のどのような点に物足りなさや空虚さを感じて、あなたを生んだのだと思いますか。

○父親の場合:



○母親の場合:



あなたの親は、あなたを味方につけて、パートナーのどのような点をやりこめようとしていると思いますか。

○父親の場合:



○母親の場合:


■ヒント

■あなたの親を、夫婦二人だけにした場合にどのようなドラマが展開されるかを想像してみてください。








前提2

人は最も強固なアイデンティティを獲得したいために親になる。

仕事、夫婦関係、その他の人間関係など、人生の様々な局面がことごとくうまくいかなかったとしても、親であるという立場はゆるぎないと信じたいがために、人は親になる。

親になるということは、男にとっても女にとっても、兵士が戦場に駆り立てられるのに似ている。国を護るためなら自分の命を犠牲にしてもいいと兵士が思うように、子どものためなら、どんなに理不尽なことにも耐えられると親は思いたがる。兵士が戦争によって殺戮に対する大義名分を得るように、親は子どもによって自分の不本意な行動に対する大義名分を得るのだ。

やりたくない仕事を我慢してやるのも、本当にやりたいことをしないでいるのも、人生の様々な楽しみを諦めるのも、子どものためだと言ってしまえば、誰からも(自分自身からも)文句を言われずにすむのである。

  こうして子どもは、親の人生の唯一の目的、人生の様々な疑問に対する唯一の答えとなる。



問2

あなたの親が、あなたを言い訳にして、獲得することを諦めようとしているアイデンティティ、叶えようとしながらも諦めている夢とは何だと思いますか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:



それらの夢を叶えてあげるために、あなたができることは何だと思いますか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:









前提3

親は、自分の味わった苦労を子どもにも味わわせたいと思っている。そうすれば、自分の味わった苦労(受けた扱い)が正当化されるからだ。


問3

仕事のこと、家族関係、親戚付き合い、その他人生全般において、あなたの親はどのような苦労を味わってきましたか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:



それと同じ苦労をあなたにも味わわせようとしているとしたら、それはどのような徴候や態度からうかがわれますか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:



その苦労を、あなたが味わわずにすむには、どうしたらいいと思いますか。




■助言

親を安心させたかったら、苦労しているフリをしなさい。間違っても、自分がすばらしい恋をしている、あるいは自分の人生はバラ色だ、などと吹聴してはいけません。










前提4

●親は、自分が叶えられなかった夢を子どもが実現してくれることを望む。

●親は、自分が敷いたレールの上を子どもに歩ませたがる。

問4

あなたの親は、あなたがどのような人間になること、あるいはどのような職業に就くことを望んでいると思いますか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:



■助言

あなたの望みと親の望みが一致しているなら、親はあなたのよき支援者となるでしょう。一致していない場合は、あなたの本心を気づかれないようにしなさい。気づかれたら、本気でやろうとはしていない(趣味程度にとどめておくつもりだ)と信じさせておきなさい。










前提5

親業こそが自分の最大のアイデンティティ(専業親)であると親が思っている家庭には、トラブルが絶えない。なぜなら、平穏無事で何の波風も立たない家庭では、自分が奮起して存在意義を発揮する機会がないからだ。機会がないと、親は自分でそれ(心配事のタネ)を作り出そうとさえする。

親は、自分の思い描いた通りに子どもが育たないと、自分の親業(あるいは自分の人生そのもの)が失敗したと感じる。

問5

あなたの家庭では、今までにどのようなトラブルや心配事のタネがありましたか。




そのタネは、誰がどのようにまいたと思いますか。




あなたの親は、あなたに対してどのような心配事を抱いていますか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:











前提6

子どもが大人になろうとする徴候は、親にとってすべて脅威となる。なぜなら、子どもが成長して、もはや親を必要としなくなると、親は自分のアイデンティティを失うからだ。

子ども中心の人生を送っている親ほど、子どもが大人になって自分たちのもとを巣立つことを恐れ、それを阻止しようとする。

問6

あなたが自分の将来に役立つと思って始めた(あるいは始めようとしている)ことで、親に反対された、止められた、妨害された(あるいはされるだろうと思う)ことは何ですか。

 ○父親の場合:



 ○母親の場合:




あなたには、このことに関しては、自分は人より早熟であると思うもの(そのことを将来、親に打ち明けたらビックリするのではないかと思うこと)が何かありますか。



■助言

あなたにもし、自分の成長に役立つことで何か実現したいことがあるなら、親に理解や協力をあおぎ、それを実現したからといって、自分が大人になるわけではないと親に信じさせておきなさい。自分はまだまだ子どもであると思わせておきなさい。

あなたがもし、一般的な通念より自分が早熟だと思うなら、そのことを親に気づかれないようにしなさい。










前提7

人は、自分の親に祖父母という新しい(実は、再び親であることの)アイデンティティを与え、自分がその人たちの子どもであるという役割から解放されたいために子どもを設ける。

問7

あなたにもし祖父母がいるなら、あなたの親は、あなたとの関係において祖父母にどのような役割を与えている(あるいは期待している)と思いますか。

 ◎父親の場合

  父親の父親に対して:



  父親の母親に対して:



  母親の父親に対して:



  母親の母親に対して:



 ◎母親の場合:

  父親の父親に対して:



  父親の母親に対して:



  母親の父親に対して:



  母親の母親に対して:










前提8

●あらゆる子どもたちは、親を教育し導くために生まれてくる。

問8

あなたは、自分の人生を成功に導き、そして親の人生も成功に導くために、自分の親をどのように教育したらいいと思いますか。上記の問の答えを参考に、まとめてみてください。





その他の前提

子どもは、親というトンネルを通ってこの世にやってくるのであって、親を源としてやってくるのではない。いまだかつてトンネルが何かを造り出したためしはない。

「子ども」という概念(大人との比較における)は、子どもに対する自分たちの権利を維持しようとする大人によって作られた幻想にすぎない。

子どもが親を必要としているのではない。親が子どもを必要としているのである。子どもは、親が何かの役に立っているようなフリをしているにすぎない。それが子どもにとって、家庭というホテルに一時滞在するための宿泊費代わりなのである。