■自己変革の三つの方法



 ある人がこんなことを言った。

 誰にでも今すぐできる自己変革の方法には三つあるというのだ。ひとつは祈ること、もうひとつは夢を見ること、そして三つ目は瞑想すること。この三つに共通するのは、「自分との対話」ということではないだろうか。

 あなたには、じっくりと深く自分と対話するという経験がどれくらいあるだろう。書くという行為も自分との対話である。書くという行為は瞑想に似ている。心が波打ち、乱れていたのではまともな文章など書けない。いや、そもそも書こうという気持ちにもならないだろう。当たり前の話だが、乱れた心で書かれた文章から、人は心の乱れを読み取る。

 ある優れた「夢との対話法」の実践者・指導者との出会いから、私は最近「夢日記」を書き始めたが、私たちが毎晩見る夢は、自分の無意識が自分に発するメッセージであるとつくづく感じるようになった。

 夢は、私たちが普段気づかないでいる、あるいは気づいていない振りをしている大切な事柄に気づかせようとメッセージを発してくる。「夢は毎晩自分にあてて書いている手紙のようなものである」という言葉もある。私たちが寝ている間も、無意識は夢という形で私たちのために仕事をしてくれているのだ。

 詩人の荒川洋治は『夜のある町で』(みすず書房)の中で、次のように書いている。

「文章を書くときの心がけ。知識を書かない、情報を書かない、何も書かない。ぼくは文章を書きながらこれらの条件を肝に命じ、『いい文章になりますように』と心からお祈りする」